【お困りではありませんか? アドバイスしますシリーズ 40】 ワンちゃんの『抜け毛』でお困りではありませんか?

↑ 上のイラストは、犬の甲状腺の位置です。 ノドの気管の両側にあります。

 

参照サイト:

https://00m.in/sdVoM

 

■■■ 『 飼主様は気にしていなかった 抜け毛、 実は・・・ 』 編

 

 

■ 犬 トイプードル、10歳、オス (去勢手術済み)

 

 

◆◆ 毎年健康診断を受けにきていただいている患者様です。

 

 

 

■ 今回も健康診断にいらっしゃっていただきましたが、シニア期ということで飼い主様とご相談し、全身の血液検査に加え『 甲状腺のホルモンの値 』を調べてみることとしました。

 

 

 

◆◆ このワンちゃん、高齢になるにつれ被毛が薄くなってきていましたが、飼い主様は高齢に伴う抜毛と思い、気にしていなかったとのことでした。

 

 

 

■ 検査の結果、甲状腺ホルモンT4の値が低値であったため、追加検査で遊離サイロキシンfT4と甲状腺刺激ホルモンTSHの測定を行いました。

 

 

■ この追加検査を行うことで、甲状腺機能低下症の診断の精度がかなり上がります。

 

 

■ 甲状腺機能低下症とは、甲状腺ホルモンの分泌が不足することによって起こる慢性の内分泌疾患です。 甲状腺は、喉の左右に存在する小さな器官で、全身の代謝をコントロールする重要なホルモン(T4・T3)を分泌しています。

 

 

 

 

◆◆ このホルモンが不足すると、代謝が全体的に低下し、さまざまな身体の機能が鈍くなってしまいます。

•  好発年齢:中年齢〜高齢(4〜10歳)

•  好発犬種:

ラブラドール・レトリバー、ゴールデン・レトリバー、ドーベルマン、ビーグル、ダックスフンド、コッカースパニエルなど

 

 

 

■ 小型犬でも発症することはありますが、中型〜大型犬での発症が多いとされています。

 

 

 

 

 

◆◆ 甲状腺機能低下症には以下の2種類があります。

 

 

◆ 原発性甲状腺機能低下症(最も多い)

 

 

•  甲状腺そのものが壊れてしまう疾患(自己免疫性炎症、甲状腺の萎縮など)

 

 

 

◆ 続発性甲状腺機能低下症

 

 

•  脳下垂体の異常により、甲状腺刺激ホルモン(TSH)が分泌されないことが原因(まれ)

 

 

 

■■ 今回のワンちゃんは原発性の甲状腺機能低下症であると診断し、甲状腺ホルモンの補充のための内服薬による治療を開始しました。

 

 

 

■ すると1ヶ月ほど経ったころ、ツルツルに毛が抜けてしまっていた尾から綺麗な毛が少しずつ生え始めてくれました。

 

 

 

■ おうちでの様子も活発さが増したと飼い主様も喜んでいただきました。

 

 

 

 

 

 

◆◆ 甲状腺機能低下症は中年齢から好発の疾患です。

 

 

◆ ぜひ健康診断の際に甲状腺ホルモンの測定をおすすめいたします。

 

 

 

 

獣医師 木島里衣

Page Top